独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 真梨子に促されて、詩穂はバッグを自分のチェアに置いた。

「社長は一番奥のブース」

 真梨子に連れられて、詩穂は十並んだブースの一番奥に向かった。蓮斗のいるブースは四畳半くらいのスペースがあり、壁際の棚には経営学や人事術に関する書籍のほかに、なにやら難しそうなソフトウェアやハードウェア、プログラミングなどの本がぎっしりと詰まっていた。デスクの上には、パソコンのほかにタブレットや、なにかのパンフレットが並んでいる。比較的片付いている方だろう。

「じゃあ、みんなに紹介しよう」

 蓮斗がチェアから立ち上がり、詩穂は彼に促されてフロアの真ん中に進んだ。

「みなさん、おはようございます。今日から事務アシスタントとして働いてくれる小牧詩穂さんをご紹介します」

 蓮斗の声を聞いて、すでに出社していた全員が集まってきた。数えてみると、詩穂と蓮斗、真梨子を除いて合計十四人。全員男性で、年齢層は二十代前半から三十代後半くらいまでと若い。カチッとしたスーツ姿の人もいれば、シャツにカーディガン、パンツというややカジュアルな格好の人もいる。

「小牧詩穂です。みなさんのお役に立てるよう一生懸命がんばります。どうぞよろしくお願いします」
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