揺蕩う空へ魔法の句を
その日の夜、私が夕食をとっていると母は「あなた、最近1人の男の子と仲良いけど彼氏なの?」と笑った。
「…ゲホッ!ゴホッ!」
私は母の言葉に驚いてむせ込んだ。母は「あら、ごめんなさいね」と意地悪そうに笑っている。
「…彼氏じゃない」
私がそう言うと、母は「そうなの?あの男の子といる時、色葉は幸せそうにしているわよ?」と言った。
「え?そうなの?」
私は本気で驚く。母は「あの男の子も同じ顔をしてるわ」と微笑んだ。
「……私、義昭が好きなのかな」
顔を赤らめながら言う。母は「色葉に好きな人ね~」と笑った。
「…そっか。私は――」
私は義昭のことを考えて微笑んだ。