Starry Night Magic

「入場無料なので、お時間があれば是非いらしてください」


こんなにポスターを見つめてくれている人が居ると、部員として声を掛けるのが義務にさえ思えた。

私は思い切って声を掛けてしまう。



私の声に気づいた男の人がはっと我に帰ったかのようにこちらを向いた。

如何にも理系、といった顔立ち。



けれど身なりには清潔感があるから、こだわっている訳ではなさそうだが、それなりには気を遣っているのだろう。

理系男子にありがちな、まあ平たく言えばダサい感じは無かった。




彼は知らない人に突然話しかけられたことに一瞬驚いたようだが、すぐに状況を理解して応答をくれた。



「部員の方ですか?」



顔立ちには似合わない、と言ったら失礼だろうが、想像以上に落ち着いた優しい声に驚いた。


でもそのギャップからなんとなく彼の性格が見えるような気がした。



「はい!」



ポスターは来週にある上映会のポスターだ。


私の所属する映画サークルは、半年に1回学内で上映会を行なっている。

1回は4月に1年生の新歓を兼ねて、もう1回は11月だ。


今回貼り出しているのは11月の上映会で、1年生の私にとっては部員側で参加する初めての上映会となる。

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