Starry Night Magic

「でも!」


彼は進めかけた足を止めて、こちらを振り向いて私の言葉の続きを待ってくれる。



「同じ人が作った『凍ったコーヒー』と『凍ったワイン』という作品があるんですけど、それには一応出てきていました。

『凍ったコーヒー』だったら、主人公がいつも必ず冷凍庫でコーヒーを凍らせていて、でもラストシーンで初めてそれを溶かして飲むんです。

『凍ったワイン』も同じような描写があって……」



なにか主人公の中で心境の変化があったことを表しているのだろうが、思い出話やてんとう虫などを通して何が変わったのかは私には分からなかった。


彼は私の言葉を制止して、よく分からないことを言う。



「いや、コーヒーやワインが凍るのはいいんです」


いいってどういうこと?


彼の真意を掴みかねて首を傾げると、彼は今までの文脈から繋がらない質問を投げてきた。



「理系ですか?文系ですか?」



この話となんの関係があるのだろうと疑問に思いながらも一応、文系です、と答える。


すると彼はしっかりとこちらに向き直って、頭の中を説明してくれた。

話を聞く中で、彼がなぜ文理を尋ねたのかが分かった。
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