Starry Night Magic

「良かったのか、うどんなんかで」



君が指定したのは某有名チェーン店のうどんだった。


カウンターで各々うどんを注文し、好きなトッピングやおにぎりなどを選んでレジに持っていくスタイルの店である。



「なんかって言わないでよ、向こうではすごく並ぶんだから」



君曰く、海外では高い上に行列が絶えないらしい。

そこまでしてうどんを食べたい気持ちが俺には理解できそうもない。


俺としてはもっとちゃんとしたものを食べに行くと思っていたから、思いの外君のフライトまで時間が出来てしまった。


しかしどこか寄るほどの時間も無く、とりあえず空港方面へ車を走らせる。



君は空港が近付くに連れて口数が減っていった。

もう何度も往復した空港までの道を覚えてしまっているのは、君も俺も同じだ。



窓の外を見る君の横顔から次第に明るさが消えていくのが見て取れた。


そんな彼女に掛けるべき言葉が見つからず、俺は空港に着くまで結局ずっと黙っていたのだった。
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