私が恋を知る頃に

楓摩side

「楓摩~頼まれたの買ってきたぞー」

「悪い、ありがとう。随分時間かかったみたいだけどなにかあった?」

今日は、俺も陽向も当直で夜の時間帯も病院に残っている。

いつもなら、やることがない時は駄弁りつつ一緒にコーヒーを買いに行くのだが、つい先程、俺の方の患者さんから呼び出しをくらいその対応をしている間に陽向が俺の分まで買いに行ってくれた。

「特に何も無いよ。自販のとこで瀬川くんと会ったからちょっと喋ってきただけ」

「あれ?瀬川くん今日もう上がりじゃ…」

「そうなんだけど、穂海ちゃんの様子が気になるって残ってたみたいよ。でも、話聞くと昨日から2日連続で穂海ちゃんにつきっきりだったみたいだったから、俺らが見とくって言ってさすがに帰した。」

向かいのデスクに座った陽向からコーヒーを受け取りつつ話を続ける。

「あぁ、穂海ちゃん悪夢見たって言ってたもんな…。昨日から眠れてないって聞いて、今夜も眠れてなさそうならどっちにしろ様子を見に行こうと思ってたんだ。」

「そう、ならよかった。行く時は、俺こっちで待機してるから何かあったらすぐ言って、欲しいものあれば持ってくし」

「ありがとう、助かる。やっぱり、慣れてる奴と当直するのは楽だな」

そう笑うと、陽向も

「俺も。やっぱ仲良い奴がいると心強いわ。」と笑っていた。
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