私が恋を知る頃に
穂海side
目を覚ますとそこは、どうしても私が来たくなかった場所だった。
狭い部屋、薄い布団と、ボロボロのランドセル
夢だ
そんなことはすぐにわかったけど、抜け出す方法がわからなかった。
ここから早く逃げ出したいのに体が動かない。
きっと、ここにいたらまた痛い目に会うとわかっているのに何故か体が動かなかった。
「あーーーーーーくそっ!!今日もハズレやがった!!!!」
不機嫌そうな男の人の声と階段を昇ってくる足音が聞こえてくる。
こんな不機嫌な日は、私が動かなくなるまで痛いことをされると決まっている。
殴られるのと蹴られるのはまだいいけど、タバコの火を押し付けられるのは嫌い…
じくじく痛いのがずっと続いて泣いてたらまた痛いことされるから。
あぁ、嫌だな、怖いな……
ぎゅっと目をつぶって身を小さくしていると、ドアが開く音がした。
「くそっ、なんでこんな日に限って酒がねえんだ…チッ」
帰ってくるや否や冷蔵庫を開けて、お酒がないことを確認すると、乱暴にドアを閉める。
徐々に足音が近づいてくると思ったら、バッと布団を取り上げられて、前髪を掴まれる。
「おいお前、酒買ってこい。パクッたりしたらタダじゃ置かねえからな」
そう言うと、1000円札を投げ渡して男はテレビを見始めた。
未成年だもん買えるわけがない。
そんなことわかっているのに、今度は勝手に体が動く。
家を出て、歩いてすぐのコンビニに行く。
あの人がいつも飲んでるのはシルバーのレモンの絵がついたお酒。
手を使って必死に計算をして、買えるだけお酒を腕に抱えてレジに持っていく。
「ごめんね、お嬢ちゃん、未成年の子にはお酒は売れないよ。」
「でも、買ってきてって…」
「それでもダメって決まってるんだ。ごめんね。また、親御さんと一緒に来てね。」
お店の人が酷く困ったような顔をするもんだから、仕方がなく商品を置いた。
「なにかあったら、ちゃんと大人に相談するんだよ」
帰り際、レジのおじさんがそっと耳打ちをして飴玉をくれた。
コクリと頷き大切に飴玉を握りこんで恐る恐る家へ帰った。
狭い部屋、薄い布団と、ボロボロのランドセル
夢だ
そんなことはすぐにわかったけど、抜け出す方法がわからなかった。
ここから早く逃げ出したいのに体が動かない。
きっと、ここにいたらまた痛い目に会うとわかっているのに何故か体が動かなかった。
「あーーーーーーくそっ!!今日もハズレやがった!!!!」
不機嫌そうな男の人の声と階段を昇ってくる足音が聞こえてくる。
こんな不機嫌な日は、私が動かなくなるまで痛いことをされると決まっている。
殴られるのと蹴られるのはまだいいけど、タバコの火を押し付けられるのは嫌い…
じくじく痛いのがずっと続いて泣いてたらまた痛いことされるから。
あぁ、嫌だな、怖いな……
ぎゅっと目をつぶって身を小さくしていると、ドアが開く音がした。
「くそっ、なんでこんな日に限って酒がねえんだ…チッ」
帰ってくるや否や冷蔵庫を開けて、お酒がないことを確認すると、乱暴にドアを閉める。
徐々に足音が近づいてくると思ったら、バッと布団を取り上げられて、前髪を掴まれる。
「おいお前、酒買ってこい。パクッたりしたらタダじゃ置かねえからな」
そう言うと、1000円札を投げ渡して男はテレビを見始めた。
未成年だもん買えるわけがない。
そんなことわかっているのに、今度は勝手に体が動く。
家を出て、歩いてすぐのコンビニに行く。
あの人がいつも飲んでるのはシルバーのレモンの絵がついたお酒。
手を使って必死に計算をして、買えるだけお酒を腕に抱えてレジに持っていく。
「ごめんね、お嬢ちゃん、未成年の子にはお酒は売れないよ。」
「でも、買ってきてって…」
「それでもダメって決まってるんだ。ごめんね。また、親御さんと一緒に来てね。」
お店の人が酷く困ったような顔をするもんだから、仕方がなく商品を置いた。
「なにかあったら、ちゃんと大人に相談するんだよ」
帰り際、レジのおじさんがそっと耳打ちをして飴玉をくれた。
コクリと頷き大切に飴玉を握りこんで恐る恐る家へ帰った。