私が恋を知る頃に
何も持たずに帰ると、案の定男は酷く憤慨して壁へ投げ飛ばされた。

「なんで酒すら買ってこれねえんだよ!!!!この役立たず!!無能のくせに飯だけはいっちょまえに食いやがって!!」

何度も謝る

何度も何度も繰り返し涙を流しながら

でも、涙を流したところで、いくら許しを乞うたところで、暴力が止まることはない。

ただ、男が私に興味を失うのをひたすらに耐えるのみ。

心を押し殺して、できるだけ刺激しないように。

ぎゅっと歯を食いしばった。
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