私が恋を知る頃に
誰かが名前を呼んでいる…

恐る恐る目を開けると、そこに居たのは清水先生……

そうだ、私ちょっとだけ頑張るって…

夢怖くて眠れなくて、それで先生がついていてくれるって言うから…ちょっと頑張ってみようって……

でも、また夢見ちゃった…

「………こ、わかった…」

「うん。」

「…男の人がね…………、いっぱい殴ってくるの……、……痛くて、怖くて、わ、私…………」

「よしよし、よく頑張った。大丈夫だからね、もう怖い人はいないからね。」

涙が溢れてくる。

拭っても拭っても涙が溢れて止まらない。

先生が何度も「大丈夫」って声をかけてくれる。

大丈夫なのは分かってる。

でも、まだ怖くて

またあの日々に連れ戻されるんじゃないかって、いつか戻らないといけないはめになるんじゃないかって…

その思いのせいか、また夢を見てしまう。

苦しいのに、苦しいのに抜け出せない。

怖くて痛くて苦しくて…

なんの涙なのかもわからない

でもひたすら心が痛くて涙が溢れてくる。

「ふうっ…………ヒック……」

先生が優しく背中を撫でてくれることが申し訳なかった。

眠れないのも、苦しいのも自分のせいなのに、私が悪いから苦しいだけなのに、きっと沢山気を使わせてしまってる。

ごめんなさい

こんな私のためにごめんなさい

きっと、他にやりたかったこともあったはずなのに、私が寝ないってワガママ言うから付き合ってくれたんだ…そばにいてって言うからずっとそばにいてくれた……

けど、きっと嫌だよね

こんなに声をかけてくれてるのに、ずっと泣き止まなくて迷惑だよね

ごめんなさい

ごめんなさい

ここにいてごめんなさい

産まれてきてごめんなさい

存在がごめんなさい

考えれば考えるほど息が苦しくて、涙で顔がぐしゃぐしゃになる。

必死に声をかけてくれてるのに、私は自分の心の声を聞くので精一杯で、上手く聞き取れない

ごめんなさい

私はなんてダメな子なんだろう

悪い子なんだろう

迷惑な子なんだろう

ごめんなさい

ごめんなさい

苦しいよ

息が吸えない

息の仕方がわからない

苦しい苦しい




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