私が恋を知る頃に
次の日の午前中、碧琉先生はいつもより少し遅めの時間に病室に来た。

「穂海ちゃん、少しお話いい?」

きっとまた手術の事なんだろうなと少し憂鬱になるも、小さく頷く。

碧琉先生はベッドサイドの椅子に座ると手帳のようなものを取り出してから話し始めた。

「あのね、昨日手術のお話したでしょ?その事で、詳しく説明したいことがあってね」

先生は手帳を開くとカレンダーのページを開き、私に見せる。

「今日がここね。それで、手術の予定日がここ」

指をさして日付を確認する。

手術までは、あと1週間くらい。

「手術はね、穂海ちゃんが痛くないように眠った状態で行うんだけど、その時に麻酔をかける専門の先生がいるんだ。でね、穂海ちゃん初対面の男の人だと、やっぱり怖いかなと思って、手術前に少し慣れてもらうため面談したいんだけど、 何時がいいかな。」

麻酔の先生、慣れるために面談、何時がいいか

頭の中で話を整理する。

「…私は、いつでも……」

そう言うと、先生は日付をいくつか指定してくれる。

「あとね、さっき言い忘れちゃったんだけど、手術前と後に穂海ちゃんにリラックスしてもらうために不安とかを話してもらう先生がいるんだけど、その先生との面談は違う日がいい?同じ日がいい?」

嫌なことは一気に、早く終わらせたい。

そう思って、私は思い切って明日を指定した。

「……一緒の日がいい。…きっと、怖くなっちゃうから……、怖いのは1回がいいから…」

そう言うと、先生は頷いてカレンダーに予定を書き込んだ。

「じゃあ、明日のお昼頃先生たちに来てもらうから、怖いとは思うけど一緒に頑張ろうね。」

コクン

不安を抱えつつ、私は頷いた。
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