私が恋を知る頃に
一通りの説明が終わり、先生方が席を立つ。

「今日はお話聞いてくれてありがとう。当日も、またよろしくね。じゃあ、お邪魔しました。」

ニッコリ笑って園田先生が出てからぺこりと会釈をしてから杉山先生が部屋を出る。

ドアが閉まってから少しして、穂海ちゃんの体から力が抜けた。

「お疲れ様。よく頑張ったね。」

そう言って頭を撫でると、穂海ちゃんは小さく頷く。

「少しでも慣れられた?」

「………わかんない…でも、多分……大丈夫」

まだ不安を含んでいるものの、悪い人じゃないことは伝わったかな。

「当日、緊張で余計怖い気持ちが大きくなっちゃうかもしれないけど、その時は俺がいるから。手術の前の日には、もう1回園田先生来てくれるし、その時にまた不安とかお話してみようか。」

コクン

穂海ちゃんの顔には明らかな疲労が浮かんでいて、もうこれ以上話すのはやめにしようかな。

「ごめんね、話長くなっちゃった。疲れたしょ?もう今日は何も無いから、お部屋でゆっくりしてて。」

そう言って俺は病室を出た。
< 122 / 282 >

この作品をシェア

pagetop