私が恋を知る頃に
甘く見ていたのが悪かった
瀬川くんと一緒に病棟回診中、さっきから瀬川くんが妙にそわそわしている。
「どうした?何かあった?」
「いや、それが…妙にお腹が痛くて……、何か中ったのかも知れません」
「食あたりか……何かなま物でもたべたの?」
「特に…、昨日は夕飯で売店のおにぎり買ってからお菓子しか摘んでないし……、今朝も食欲がなくて…」
症状を聞くに、何か変な気がする。
この症状は、食あたりというより……
その時だった
「っっ……!!!!」
「瀬川くんっ!!」
急に瀬川くんがお腹を抑えてうずくまった。
腹痛が急に悪化したか…
顔は青ざめていて、冷や汗をかいている。
「瀬川くん、とりあえず処置室行こう。歩ける?」
コクン
小さく頷いた瀬川くんを支えつつ、ナースステーション奥の処置室へ向かう。
「あれ、楓摩…と瀬川??どうしたん、こんな顔真っ青で……」
途中すれ違った陽向も驚く顔色の悪さ。
「陽向、今手空いてる?空いてたら、レントゲン室とってきてくれない?」
「了解。すぐ行ってくる。」
何とか処置室に着き、瀬川くんをベッドに寝かせる。
「どこ痛い?」
「……し、下です」
「下?ちょっと触診するよ。」
コクン
頷いたのを確認して、瀬川くんのシャツのボタンを外し、皮膚に触れ軽く押していく。
「っっっっ!!!!!!!」
「ここか…」
さっきの予想はあっていたみたいだ……
恐らく…
「虫垂炎っぽいな、これ。」