私が恋を知る頃に
コンコンッ

「失礼します。穂海ちゃん、朝の回診です。入ってもいいかな?」

「…うん」

カラカラッと扉が開いて清水先生が入ってくる。

「おはよう。今日は体調どうかな?朝の検温、少し微熱あったみたいだけど…」

「……大丈夫」

「頭痛いとか、体だるいとかない?」

「うん…」

夜更かしをしていたことがバレたら、怒られる気がしてなんとなく言えなかった。

「そっか。なら、念の為もう1回だけ熱計らせてね。」

体温計を渡されて、それを脇に挟む。

少しするとピピピピピッと電子音が響いた。

「37.3か…、やっぱり微熱だね。本当に体調悪いところない?」

「うん」

「……じゃあ、さっきから上がってもいないようだし、少し様子見かな。具合悪くなってきたら、すぐにナースコールしてね。」

そう言うと、清水先生はカルテに何かを書き込んでから、病室を出た。

忙しいのか、清水先生はいつも急いでいる。

もう少し、話したかった…

ひとりでここに居るのは寂しいから、少しでもいいからもうちょっとだけ居て欲しかったな……
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