私が恋を知る頃に
夢を見た

どんどんひとりぼっちになっていく夢

本当のお父さんが家から出ていった日

お父さんが居なくなって、生活が苦しくなったお母さんが私を殴ったあの日

だんだん家に帰ってこなくなってきて、知らない男の人を連れ込むようになったあの日

死にかけたあの日

それだけじゃなかった。

夢には続きがあって、さらに私はひとりになった。

退院が決まった途端、先生も誰も来なくなってしまう。

患者じゃないから、もう要らないというように病院からぽいっと投げ出されて施設に引き取られた。

施設でも最年長で新入りの私の居場所はなくて、そこも数ヶ月で施設に居れる最高年齢になり追い出されてしまう。

追い出された私はどこにも行く場所がなくて、ふらふらと歩くしかない。

お腹がすいても、喉が渇いても少しもお金なんて持っていなくて、夜になっても眠る場所が見つからない。

仕方なく、寒い風の吹き荒れる中公園のベンチに寝転がった。

ベンチは固くて冷たくて肌に触れる部分の温度に凍えそうだった。

もう誰も助けてくれない

本当にこのまま死んじゃうんだ

そう思って心が締め付けられる。

泣いてももう誰も涙を拭ってくれない。

やっぱりこの世に私の居場所はなかったんだなって再認識した。

とにかく胸が痛かった。

零した涙が暖かかった。
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