私が恋を知る頃に
数日後

「本当にご迷惑おかけしました!」

「いやいや、そんな謝んないで。誰にでも体調を崩すことはあるからさ。」

俺は、今日から完全復帰。

周りの色んな先生や看護師さんたちにも迷惑をかけたから、その分人一倍頑張らなきゃ。

まず、復帰第1の仕事は____

「穂海ちゃん、おはよう」

「っ!!……碧琉先生っ!!」

驚いた顔の穂海ちゃん。

「心配かけさせてごめんね、もう元気だから今日からまたよろしくね」

「……っ、良かった…」

穂海ちゃんは何故か泣きそうで、清水先生はそれを微笑んで見守ってくれている。

「じゃあ、今日からは退院に向けて色々準備していこうね。」

そう言った途端、穂海ちゃんの顔が一瞬暗くなる。

「……うん」

…前に、退院するの怖いって言ってたっけ……

ひとりになっちゃうのが嫌なのかな…

「大丈夫だよ。退院しても、また検診で二週間に1回は会えるし、それに3月になったら迎えに行くって言ったでしょ?」

「…まだ、その約束……覚えていてくれたの?」

「当たり前だよ。軽はずみな気持ちで言ってないから。少しの間、会える時間が少なくなるけど、ずっとそばに居るって約束は忘れないから。」

そう言って手を握ると、穂海ちゃんの顔はほんのり赤い。

「穂海ちゃん、熱ある?」

カルテを見るも、朝の検温は平熱だ。

「…大丈夫」

「ほんと?具合悪いところない?」

「うん…」

まだ顔が赤いのが気になったけど、熱もなさそうだし、診察をして何も無ければ大丈夫だろう。

部屋、暑かったかな?
< 154 / 282 >

この作品をシェア

pagetop