私が恋を知る頃に

碧琉side

目の前で起きていることが信じられなかった。

頬を赤らめた穂海ちゃ…穂海は、恥ずかしそうに少し俯いている。

名前呼び、お付き合い出来たらするって決めてたけど、いざしてみるとなかなか恥ずかしいものがある。

まさか、本当に付き合えるとは思っていなかった。

OKがもらえるなんて、思っていなかった。

きっと今の自分の顔は、にやにやを堪えるのに必死で変な顔をしているだろう。

すごく嬉しかった。

自分の気持ちに気付いて、それをやっと伝えられた。

さらに…願いまで叶ってしまった。

こんな素敵で幸せなことがあっていいのだろうか。

ああ、どうしよう。

病室を出た途端スキップしてしまいそうだ。

医局に戻ったら、笑顔をこらえるのに必死になりそうだ。

そのくらい、心は弾んでいた。

目の前の穂海が、ただただ愛おしくて、尊い存在に思えた。
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