私が恋を知る頃に
その日の夕方、私が職員さんに借りた本をベッドで読んでいると、廊下にから騒がしい声が聞こえてきた。

声はだんだん近づいてきてドアが開く。

「__でさー、担任がまじで………って、誰?」

「…新しく入った子じゃない?」

「ふーん」

びっくりして、縁起でもないが心臓が止まりそうになった。

知らない子が急に2人も入ってきて、緊張で心臓はバクバクいっている。

髪の短いボーイッシュな女の子と、髪の長い大人しそうな女の子。

2人とも同じ制服を着ているから、多分同じ学校なのかも…

ボーイッシュな方の女の子が私の上のベッド、大人しそうな女の子が隣の上のベッドらしい。

2人は荷物を机の所に置くと、それぞれ自分のベッドに上がり何も言わなくなる。

変に喋りかけられなくて良かったかも…

中学校の時も、私が喋ると空気が冷めるのを感じた。

だから、話しかけられなかったことに少しほっとした。



少しすると、放送がかかった。

どうやら、夕飯の時間らしい。

同室の2人が部屋を出ていくのをみてから、私もこっそり後ろについて行った。
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