私が恋を知る頃に
人の倍以上かかってやっとご飯を食べ終える。

私が食べ終わる頃には、もうほとんど人はいなくて、職員さんたちにチラチラ様子を伺われるのが恥ずかしかった。

満腹を超えて少し吐き気がする体を頑張って動かして食器を片付ける。

少しご飯が多かった。

でも、残したら悪いから無理やりお腹に詰め込んだ。

明日からは、白米少なめに盛ろうと思いつつ、部屋に戻るために食堂を出た。




食堂から戻ると、部屋の他の子たちはみんな勉強をしていた。

学校の宿題か、それとも別の勉強か、見ただけでは区別はつかなかったけど、でも難しそうな勉強をしていることはわかった。

高校生って普通はこういう勉強をするのかな…と少しだけ寂しくなる。

机の横の棚に並ぶ分厚い教科書は、英数国だけじゃなく、倫理や政治・経済など聞いたこともないような教科もあった。

みんな、偉いなあ

きっと、勉強して大学とか行くんだろうな。

そしてなりたいお仕事に就いて…

私には遠い世界の話に思えた。

私は将来どうなるんだろうな

つい最近まで、毎日を生きるのに必死でそんな所にまで気が向かなかった。

でも、こうして安全な暮らしを貰った今、それは私の中で大きな問題のひとつだった。

やりたいこともない、夢もない、碧琉くんは家においでって言ってくれたけど、何もしないで居座ってるだけなんて出来ない。

私、お仕事出来るのかな

ペンすらまともに持てないのに……

そう思うとなんだか悲しくなってしまって涙が出そうになった。

あーあ、何もしたくないな

何もしないで生きて行けたら幸せなのにな。

なんのために生きているんだろう

また、わかんなくなっちゃった。
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