私が恋を知る頃に
目を覚ましたのは夕方だった。
あの後、どうしたのか覚えていない。
でも、何かを訴えるようにお腹がずっとズキンズキンと痛んだ。
多分、気絶したんだと思う。
苦しくて逃れたくて本能で意識を遮断してしまったのかもしれない。
そう思うと、自分のやるせなさに腹が立った。
ここ数日憂鬱なのも、ほとんどが自己嫌悪によるものだ。
自分が情けなくて、悔しくて、でもどうにも出来なくて悲しかった。
こういう思考に陥ったらダメだ
と思うのに、頭の中では常に自分を否定する言葉ばかりが飛び交っていた。
碧琉くんに相談しようかとも思ったけど、その度に"またお前はそうやってすぐに人に頼ろうとする" "いい歳のくせに自分のことも出来ないのか"という声が聞こえる気がして、気が進まなかった。
施設の人から支給されたスマホで、碧琉くんとはメッセージのやり取りをしていた。
でも、いつも嘘をついて誤魔化しちゃって、それも苦しかった。
本当のことを言えばいいじゃん
そう言われてしまえば、それまでだけど、自分で頑張って克服しなきゃ強くなれない気がして、言えなかった。
溜めれば溜めるほど、苦しいのは酷くなるとわかっていても、相談するのは自分の弱さを露呈するようで嫌だった。
時間と共に痛みを増すお腹を抑え布団の中でうずくまった。