私が恋を知る頃に
お腹の痛みは、他のことをしていると薄れて言った。

だから、あんなことになるまで放置しちゃったんだ。




ここ数日、連続で悪夢を見ていた。

単に暴力を振るわれるだけのやつもあれば、嫌なことをひたすら言われる夢も見た。

その日の夢は、嫌なことを言われる方だった。

小学校、中学校のころにぶつけられた沢山の言葉が脳内で再生される。

最初は、言い返したりもしてたけど、日が増す毎に酷くなる家庭での暴力で私の気力は薄れて、次第に言い返す気力もなくなっていた。

言い返さなきゃ、相手は面白くないと思って嫌なことを言ってこなくなる

なんて最初に言ったのは誰なんだろう。

そんなこと、ひとつの欠片もなくて、いじめは収まらないどころかヒートアップしていった。

その言葉たちは、数年経っても私の心を蝕み続けているようだ。

真っ暗な闇の中、ひたすら嫌な声が聞こえ続けるその夢は、拷問のように辛い。

いつまで続くかわからない夢に怯えていたその時だった。

突然、腹部を刺されたかのような鋭い痛みが走る。

「いっっっ……!!」

ハッと気付けば、暗い部屋。

どうやら、痛みで目が覚めたようだ。

それにしても、痛い、痛すぎる。

ズキンズキンなんて甘いもんじゃなくて、グサグサ刺されている時みたいな痛み。

私は思わず、お腹を抱えてうずくまった。
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