私が恋を知る頃に
碧琉くんの話によると、私は酷い腹痛で施設の人が救急車を呼んでくれたものの、救急隊員の人を見てパニックを起こし、そのまま意識を失ったらしい。

原因としては、ストレス性の胃潰瘍とそれに伴う腹膜炎。

ストレスで胃に穴があき、そこから出た胃の中の液体が漏れちゃったらしい。

私にはさっぱり何が起こっているのかわからなかったけど、どうやら色々大変なことが起きていたみたい。

今はそれの処置でお腹に管を入れてたり、たくさん点滴がついているのでしばらくは動かない方がいいみたい。

碧琉くんが説明し終わったのを見ると、清水先生は安心したように戻っていき、碧琉くんは私の手を握って深いため息をついた。

「……ほんっっと、心臓止まるかと思った。」

そう言った碧琉くんの声は少し震えている。

「当直してたらさ、穂海が倒れて搬送されてきたって連絡受けて、本当に焦ったんだよ。穂海のとこに着いたら着いたで、容態もかなり悪かったし、穂海が死んじゃうんじゃないかと思って…」

碧琉くんにそんなに心配かけちゃってたんだ。

「ごめんね…」

そう言うと、碧琉くんは首を横に振る。

「穂海は悪くないよ…でもさ、悩んでることあるなら少しは相談して欲しかったなあ。」

"ストレス性"

私はこれを聞いた時、ストレスってこんな酷い症状を起こすんだってびっくりした。

こんなことになるとは思わなくて、一人で頑張ろうとしてた…

でも、結局こんな目に会うことになっちゃってさ

意地を張っていた自分がアホくさかった。
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