私が恋を知る頃に

碧琉side

病院に逆戻りしてきた穂海は、今にも消えてしまいそうな儚い存在に見えた。

細く白い体と、具合の悪そうな青白い顔、泣いた目元と、鼻の先だけが少し赤くて不釣り合いだ。

穂海は、悲痛な面持ちをしていた。

何かを苦しみ我慢しているような顔。

それが何か、俺にはまだ詳しく教えてくれなくて、穂海がどれだけの量を抱えているのか推測できないのが悔しい。

決定的な事件があったのでは無さそうだ、でも積もり積もった小さなストレスが大きなストレスをよんで、今回のことに至ってしまったのだろう。

慣れない環境での生活には、多少なりともストレスはつきものだとは思うが、ここまでだとは思ってもいなかった。

だって、退院から一週間後には検診があったし、そこで現状を聞いて解決策を出したりしていけたらなと思っていた。

それが間違いだったんだ。

こんな短期間でこれだけのストレスを抱えるとなると、どうも環境要因だけではないと思われる。

その点、穂海話してくれるかな。

さっき少し話してくれた時も、明らかに辛そうな表情をしていたし…

とても、不甲斐ない気持ちばかりが胸に残った。
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