私が恋を知る頃に
翌日、朝の回診の時に園田先生に時間を合わせてもらい穂海が現在入っているICUで待ち合わせをした。

少し早めに着いてしまい、ICU内のナースステーションでカルテの確認と打ち込みをしていると、数分して園田先生がやってきた。

「おはよ~、今日はよろしくね」

相変わらずふわふわとした園田先生の雰囲気に少し気持ちが和む。

「はい、よろしくお願いします。今日なんですけど…」

清水先生に話したことに加え、昨日の様子も付け加えて事情を話す。

園田先生はふむふむと頷きながら、手帳にメモを取っていく。

「…りょーかい!とりあえず、瀬川くんが行くと顔を背けちゃう感じなのかな?もし、瀬川くんの方に何か理由があるなら穂海ちゃん、警戒しちゃうかもしれないし、まずは僕がひとりで行ってみるね。瀬川くんはここで少し待ってて。」

「……はい。」

いつにも増して緊張していた。

今から判決を下される罪人のような…自分の罪を暴かれてしまうような気持ち。

何もしてないとは思うんだけど…

それでもどうしても緊張した。

穂海に嫌われてたらどうしよう…

待っている間に片付けようと思った仕事は、全く集中出来なかった。
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