私が恋を知る頃に
「そっか。そっか。それで悩んでたのか。比べたくなくても、自然と目に入っちゃうと辛いよね。それに、夢もか…」

……コクン

「……夢は、ストレスに起因するものかもしれないね。昼間に感じた引け目とか劣等感とかが、夢の中でも悪い夢を引っ張ってきちゃうのかも。」

そうだったんだ…

じゃあ、昼間のストレスが無くなったら嫌な夢も見なくなるのかな…

「…最近辛いのは夢のせい?」

その問いかけに少しドキリとする。

「……たぶん」

曖昧に誤魔化した返事をすると、園田先生は「そっかあ」とまた少し間延びした返事をする。

「…………瀬川くんのこと避けちゃうのも?」

今度こそ核心を突いた質問に、息を呑む。

「……なんのこと…」

自分でも声が震えていることがわかる、嘘つくの下手くそかよ……

「穂海ちゃん、意図的に瀬川くんのこと避けてるのかなって。……それ、夢に関係する?」

ああ、もうそこまで読まれているのか…

もう、ここまで気付かれているのに嘘をつく必要はないか……

私は小さく頷いた。

「……何があったか、教えてくれる?」

「…………うん」
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