私が恋を知る頃に
「瀬川くん、どうした?」

数分して、エコーの機械と共に清水先生が息を切らしながら来てくれた。

「せ、先生っ、これ……もしかすると、あのっ…」

「大丈夫だから、落ち着いて。状況は聞いてきた。初見は?」

俺は、内心焦りながら、自分の初見を伝える……

たぶん、この音は…

「心雑音が見られます。それも、たぶん…大動脈逆流だと思われます。」

「……っ、わかった。じゃあ、すぐエコーを撮ろう。それから、CTとMRIだ。俺がエコーの準備するから、瀬川くんは検査室空けてもらうように言って」

「わかりました!」

俺は、PHSを取り出し検査室の受け付けに電話をつなぐ。

「もしもし、こちら第一検査室受け付けです、どうされました?」

「小児科の瀬川です、この後すぐCTとMRIって空いていますか?」

「この時間だと……15分後に空く予定です。緊急ですか?」

「はい、じゃあ15分後に入れてもらってもいいですか?」

「わかりました」

電話を切り、俺も清水先生の所に加わる。

「ごめんね、ちょっとお洋服の前開けさせてもらうね~」

清水先生がエコーの機械の準備をしてくれている間に、俺は穂海ちゃんの服を脱がせて準備をする。

「よし、準備できたよ、俺はモニター見てるから、瀬川くんやって。」

「はい」

緊張で手が震える。

大丈夫、きっと大丈夫。

ゴム手袋をはめ、ジェルを手に取る。

「ごめんね、ちょっと気持ち悪いけど我慢してね」

それを塗ってから、エコーの機械を手に取る。

モニターに穂海ちゃんの心臓の様子が映る。

「……うん、逆流してるね。それに、かなり重症かもしれない。呼吸苦しそうなのと、足のむくみも見られるし…心不全も起こしてる。とりあえず、エコー終わったら穂海ちゃんの体起こしてあげよう。そうしたら、少しは息が楽になる。」

「はい!」
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