私が恋を知る頃に
穂海side
「……穂海は、お母さんのこと好き?」
そう聞く碧琉くんに私はすぐには返事を返せなかった。
昔なら、"うん"と即答できた。
だってお母さんは優しくて、いつもそばにいてくれて、沢山褒めて、頭を撫で抱きしめてくれた。
それをずっと覚えているから、今のお母さんは本当に別人みたいで、信じられない……
今のお母さんから感じるのは、私に対する冷たい眼差しだけ。
私があの男に殴れてても、蹴られててもずっと冷ややかな目で見てくる。
そして、男がひとしきり私に暴力を振るって飽きてから家から出ようとすると、お母さんは甘ったるい声で男について行く。
そんなお母さんは大嫌いだった。
でも今も、大好きだったお母さんに期待をしている自分がいるのも事実で、その気持ちがごちゃごちゃになる。
本当は、どうしようもなく追い詰められて仕方なくこんな風になってしまったんじゃないか
本当は、今でも私のこと好きって思ってくれてて、でも男の前だから言えないんじゃないかって
本当は、昔のお母さんのままで本当はまだ……優しいんじゃないかって…
「……お母さんに…会いたい…………」
考えに考えた結果私の心から漏れた言葉はそれだった。
そう聞く碧琉くんに私はすぐには返事を返せなかった。
昔なら、"うん"と即答できた。
だってお母さんは優しくて、いつもそばにいてくれて、沢山褒めて、頭を撫で抱きしめてくれた。
それをずっと覚えているから、今のお母さんは本当に別人みたいで、信じられない……
今のお母さんから感じるのは、私に対する冷たい眼差しだけ。
私があの男に殴れてても、蹴られててもずっと冷ややかな目で見てくる。
そして、男がひとしきり私に暴力を振るって飽きてから家から出ようとすると、お母さんは甘ったるい声で男について行く。
そんなお母さんは大嫌いだった。
でも今も、大好きだったお母さんに期待をしている自分がいるのも事実で、その気持ちがごちゃごちゃになる。
本当は、どうしようもなく追い詰められて仕方なくこんな風になってしまったんじゃないか
本当は、今でも私のこと好きって思ってくれてて、でも男の前だから言えないんじゃないかって
本当は、昔のお母さんのままで本当はまだ……優しいんじゃないかって…
「……お母さんに…会いたい…………」
考えに考えた結果私の心から漏れた言葉はそれだった。