私が恋を知る頃に

穂海side

「…………」

気まずい空気が続く。

もちろん原因は私がずっと黙っているから。

でも……碧琉くんに居てほしいっていったけど、なんか心細くて居てほしかっただけで、話したいことは特にないし、むしろこの先の緊張でなにも頭に浮かばなかった。

碧琉くんはさっきから私の様子をうかがっている様子だけど、碧琉くんも緊張しているみたいで、話しづらいみたい……。

「…っ…………」

さっきから何度も、碧琉くんは何かを言おうとして言葉を飲み込む。

私に気遣ってくれているのかな……

今日の話題は、私にとっても、碧琉くんたちにとってもすごくデリケートで重い話だから……

私も本当はあの時のことは…思い出したくない……

思い出したら、またフッと、死にたくなってしまいそうで……

というか、今でも自分に価値は見いだせないし、未来に希望をもてないことは変わってない…

本当に、今は心をごまかしているだけで、また一回でも昔の夢とか、いやなこととかを思い出したら…………

また不安で胸がきゅっとなる。

死んだらだめ、自分を傷つけたらだめ……

わかる、わかるけど……

本当に今はずっと精一杯で、いつまた、このリミッターが外れちゃうかわからない……

もしかしたら、今日かもしれない。

…………きっと、次また、私が自分を傷つけたら…、今度こそ碧琉くん私のこと見放しちゃうかな……

そうなったら……

どうしよう…………

本当に、私の居場所、なくなっちゃう…

どうしよう…どうしよう……

ああ、だめ、また苦しくなっちゃう……

いやな想像から抜けられなくなっちゃう……

こわい……

こわいよ…………


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