私が恋を知る頃に
「……穂海…?」

あ、また、碧琉くんに迷惑、かけちゃう……

どうにか、しないと……

息、落ち着かせないと……

「はあっ、はあっ……」

「穂海、どうした、どうした?…怖くなっちゃった?大丈夫?一回、落ち着こうか。」

また……情けない…………

悔しさと苦しさから涙が出てくる……

「大丈夫だよ、大丈夫。ゆっくり息吐こうね。大丈夫、大丈夫。」

「はあっ…はあっ……」

「ゆっくりでいいよ。ゆっくり…。吸って…吐いて……。」

碧琉くんの大きな手が私の背中を撫でる。

あったかくて、やさしくて……

また、涙が出る……

でも同時にまた、『こんな私で、ごめんなさい』っいう気持ちがより強くなる。

なんでだろう…、なんでこんなにいやなことしか浮かばないんだろう……

うれしいのに、情けなくて悲しくなる。

何をしても、いわれても、自分を肯定できなくて、また情けなくて……

「穂海、穂海!落ち着いて!どうしたの、そんなに泣いて……。」

碧琉くんの困った顔……

また、ごめんなさいの気持ちが頭を支配する。

どうしよう……、今日はいつにも増していやな気持ちがずっと頭から離れてくれない……

なんで、なんで……

やだ……

また、くるしい……

やだ

やだ

たすけて




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