私が恋を知る頃に

穂海side

「穂海には笑顔が一番似合うね」

「だって、穂海が凄い可愛かったから……」

碧琉くんの口から零れたその言葉たち。

そんな言葉、私はどれも今まで掛けてもらったことなんてなくて……

”可愛い”とか…”笑顔が似合う”とか……

胸がドキドキする。

さっきからその2つの言葉があたまの中をずっとグルグルしていて……

顔が、熱い……

「………恥ずかしい…」

やっとのことで絞り出した言葉はこれだけだった。

だって、本当に胸がドキドキして、心臓が耳元にあるんじゃないかってくらい、自分にもドキドキ聞こえてきて…

どんな顔していいか、わからないから碧琉くんの顔も見れないし……

そう思っていると…

「…ずるい、反則……」

なんの事かわからないうちに、碧琉くんにギュッと抱きしめられた。

すると、碧琉くんと私の身長差で、私の耳がちょうど碧琉くんの胸元に来て…




…………碧琉くんもドキドキいってる…

多分、いつもより早い心臓の鼓動が振動を通して私に伝わってくる。

私はその音を聞いて、なんだか安心した。

……これだけ、変に緊張しちゃってるのは私だけかと思った。

これだけ…、変に舞い上がっちゃってるのは私だけかと思ったから……

よかった、一緒

ただ、それだけで、すごく安心した。

嬉しくて、思わず笑みが零れた。

何でだろう、不思議。

私は…今まで恋なんてしたことないけど……

普通の女の子は、こういうこと、いつも経験してるのかな……?

こんなに、いつも緊張して…でも……



こんなにいつも幸せで



これが、普通?

よく、わからないけど…

不謹慎だけど、こんなに幸せでドキドキしてちゃ、私の心臓もたないな…なんて思っちゃった。
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