私が恋を知る頃に

穂海side

ペンとノート、あとは何かいるかな……

ドキドキしながら時計を見ると、あともう15分の所まで迫っていた。

今日は、院内学級の見学の日。

この後、碧琉くんと園田先生が来てくれて、一緒に行く予定になっている。

……正直、学校はちょっと苦手。

ペンを持つのが下手くそで、字を書くのが遅いからいつも置いていかれるし、あとでノートを見ても上手く内容が理解できなかった。

それで、テストも酷い点で先生には怒られて、周りの子にもクスクス笑われる。

それだけじゃなくて、休み時間は身なりのことでからかわれて、たまに痛いこともあって……

やっぱり、あんまり良い思い出はないや……

思い出して、怖くなって緊張していると、コンコンっとドアがノックされた。

「はい」

返事をすると、優しい顔の碧琉くんとその後ろに園田先生。

「お迎えに来たよ。もうそろそろ行こうか。」

まだ緊張は収まらないけど、先生たちを待たせる訳にはいかないもんね…

前に碧琉くんがくれたペンとノートを持って部屋の入口に向かった。
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