私が恋を知る頃に

碧琉side

「まず、穂海ちゃんの胸が痛くなっちゃって苦しくなっちゃった理由を説明するね。」

持ってきたタブレット端末を操作して、資料を出す。

「これ、見てもらってもいい?これは、心臓の模型ね。普通、俺たちはこっちらからこっち向きに血液が流れてるの。…けど、穂海ちゃんの場合、たまに反対向きに血が流れちゃうの。だから、痛くなったり苦しくなっちゃったりするんだ。ここまでは大丈夫?」

「…………うん」

「それでね、今みたいにすぐに治まってくれたらいいんだけどね、治まってくれなくなったら大変なんだ。だから、その前に手術をして治したいんだ。」

「手術……?」

「うん。麻酔をして、穂海ちゃんを眠らせた状態で、ここを切って、この後心臓がまた変な動きをしないようにするんだ。それで、できることなら、二週間以内には手術したいんだけど……」

そこまで言ってから、穂海ちゃんの表情を伺う。

案の定、その表情は曇っていて、今にも泣き出しそうだ。

「ごめんね、急に言われたら怖いよね…」

「……それ、痛い?」

「…麻酔をするから、眠っている間は痛くないよ。……でも、麻酔の薬を入れるための注射だけは少し痛いかもしれない。」
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