私が恋を知る頃に
「手術、受けてくれる?」

「わかんない……」

「…でも、早く決めてくれなきゃ、こっちも__」

途中まで言いかけたところで、兄貴に言葉を遮られる。

「そうだよね。急にいっぱい言われてもわからないよね。じゃあさ、今日一日、こいつここに居れるから、ゆっくりでいいから少し話し合ってみてくれないかな。不安なことでもいいし、何が怖いかでもいい。…普通に世間話でもいいよ。なんでもいいから、今日は2人でじっくり話してみて。」

「…………うん」

そう言うと、兄貴は俺の方をポンと叩いて

「じゃ、僕と清水先生は他の仕事あるから戻るね。」

そう言って、病室を出ていった。





残された二人の間に気不味い空気が流れる。

……何を話していいのかわからない。

…でも、空気的に、あんまり病気絡みのことは言わない方がいいのかな……

そうこう考えているうちに、少しの間沈黙が流れた。
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