私が恋を知る頃に

穂海side

ふと、目が覚めた。

窓の方に顔をやると、外はまだ真っ暗だった。

時計を見ると、朝の4時。

本当は、寝ているべきなんだろうけど、何故だか、目が冴えてしまった。

やることも無く、ぼーっと思考を巡らせる。

……私、この後どうなっちゃうんだろう。

先生は、『助けるから』って言ってくれたけど、もしここを出ることになったら…………

私には行くあても無い。

どこかに保護されたとしても、施設で匿ってくれるのは18の誕生日までだ。

この前の話によると、もう半年もない。

18の誕生日が来たら、施設を半ば追い出される形で出なければいけない。

前に何度か施設に行った時、そういうお兄ちゃんやお姉ちゃんを見た。

みんな、不安そうな顔をしていたのを覚えている。

私も気付けばその年。

家から出ず、ほとんど引きこもりのような状態で育ってきた世間知らずの私が、この世の中で必要とされるか…そんなの、言うまでもない。

いらないに決まってるんだ。

ずっと、このままだったらいいのに。

…ご飯も食べれて、お風呂も入れる、毎日暖かいお布団の中で暮らせて、暴力も暴言も吐かれない。

こんな贅沢な生活も、病気が治ったら、全部終わりだ。

数ヶ月後には、自立しないといけないのに、何もわからない。

……社会の仕組みも、世間のことも、なにも、何も知らない。

これから……どうすればいいんだろ
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