私が恋を知る頃に
「………少し、落ち着いた?」

「…うん」

そう言うと、先生は私の頭を撫でてからベッドの隣の椅子に座った。

「……さっきは、急に苦しくなっちゃった?」

「…ううん」

「じゃあ、どうして?」

「………………足音…聞こえて……。」

こう言っても、伝わらないよね……

そう思ったけど、先生は頷いて、納得したような顔をした。

「そっか。トラウマ…思い出させちゃったかな?」

「……うん」

自分の言いたいことが、すんなり伝わってくれて、少し嬉しくなる。

でも同時に、疑問も浮かんだ。

「…先生は、なんで…………来たの?まだ、こんな時間なのに…」

「……すこし、穂海ちゃんの様子が気になっちゃって…。…………穂海ちゃん、ちょっと今話していってもいい?眠かったら、寝ててくれてもいいから。」

「うん。大丈夫だよ。」

そう言うと、先生は頷いてから少しずつ語り始めた。
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