私が恋を知る頃に
そんな良い雰囲気を壊したのは、またしても発作だった。

「…っっ!!!!!!!!」

突然胸を鷲掴みにされたような痛みが走る。

咄嗟に胸を抑えて蹲る。

「っ、穂海ちゃん、発作?」

コクコク

息が苦しくて声が出ない。

どうしよう、私、死んじゃうのかな……

痛いのと怖いのが一気に襲ってきて、堪らず涙が溢れる。

痛い

苦しい

死にたくない

「穂海ちゃん、深呼吸だよ。俺が支えるから、ゆっくり体起こしてみて。少し楽になるから。」

そう言われて、何とか体を起こすも、まだ痛いのは収まらない。

「ごめんね、痛みは自然に収まるのを待つしかないんだ…。深呼吸してたら、大分楽になってくるから、もう少し頑張って」

そう言って、手が握られる。

「大丈夫だよ。落ち着いて。ゆっくり呼吸してごらん」

何度か背中をさすられるうちに、だんだん痛みが落ち着いていく。

同時に呼吸も楽になっていく。

「……落ち着いたかな?」

先生は、私の顔を覗き込んでから、ハンカチで涙を拭いてくれた。

「よしよし、怖かったね。もう大丈夫だよ。」

コクン

「でも、万が一のためにちょっと聴診させてもらってもいい?」

……コクン

小さく頷いたけど、内心はまだ怖くて微かに体が震える。

聴診は……苦手…

そんな私の気持ちを読み取ってか、先生は私の頭を撫でてから

「ごめんね、すぐ終わらせるから」

といって聴診を始めた。
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