私が恋を知る頃に
「今日はありがとう、まだ来るね」

夕方、沢山悩みを聞いてもらって、今日の所は一旦お開きにした。

心の中のモヤモヤが少し晴れてスッキリした気持ちはあるものの、正直少し疲れちゃった。

ベッドに横になると先生は頭を撫でて微笑んでくれる。

「お疲れ様。今日はどうだった?」

「……少しスッキリした。…けど、ちょっと疲れちゃった」

「そっか。でも、少しでも気持ちが楽になったなら良かった。それに、大人と話すことに慣れてもらういい機会にもなったしね。」

コクン

すごいいい機会になったと思う…思うけど、やっぱり無意識に気を張ってたのか、2人になると少しホッとする。

「せんせ…」

「ん?なあに?」

「……もう少しここに居てくれる?」

そう言うと、先生はニッコリわらって手を握ってくれた。

「もちろん。今日は、ずっと一緒にいてあげる。」

その言葉に、心からホッとした。

もしかしたら、気を張ってただけじゃなくて心のどこかではまだ怖かったのかもしれない。

そのせいか、無性に先生に甘えたくて…

先生は不思議だ。

一緒に居るだけで心がポカポカしてくる。

その温かさは、私を優しく包み込んでくれるお布団みたいで、とても心地良い。

あぁ、ずっとこの温もりに包まれていたいな

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