私が恋を知る頃に
「…少し落ち着いたかな?」

コクン

呼吸は落ち着いた。

けど、過呼吸のせいで頭は痛いし、まだ夢の中で言われた言葉が心にずっしりとのしかかっている。

お前なんか居なければよかったのに

その言葉が鈍く太い釘のように心に深く突き刺さってズキンズキンと痛む。

「……まだ辛そうだね。体が辛い?それとも心?」

頭痛いし心も痛い

「…………両方」

両方というか…全部だよ……

ほんとは全部が辛い…

さっきの夢も、病気も、お母さんのことも、今の状況も………

でも数え上げたらキリがないよ…

「そっか。具体的にどこが辛いか言える?」

「…頭痛い………あと…心が……痛い………………辛くて…辛くて……」

あ…ダメ……また涙が出てくる…………

「そっか、そっか。教えてくれてありがとう。」

先生は背中を擦りながら、涙を拭ってくれる。

「心が痛いのは、夢を見たからかな?」

…コクン

誰にも必要とされてないって

私の居場所はどこにもないって

そう思い知らされるようで、怖くて

「そっか。怖かったんだね。もう大丈夫だからね。大丈夫、大丈夫。好きなだけ泣いていいよ。貯めてることあったら、全部教えて?我慢しなくていいから。」

…コクン……コクン

"大丈夫"の言葉が嬉しくって

また涙が止まらない。
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