私が恋を知る頃に
先生の目は真剣で、本当にそう思ってくれてるんだなって伝わる。

嬉しい

私、もうひとりぼっちじゃないの?

これからは先生がいてくれるの?

私の居場所作ってくれるの?

もう、要らないなんて言わないの?

また涙がポロポロとこぼれ始める。

さっきの悲しい涙じゃない

暖かい嬉しい涙

「先生っ……」

「ん?なあに?」

「ずっとそばに居るって約束してくれる?」

「うん。約束する。穂海ちゃんが辛い時不安な時ずっと傍で支える、穂海ちゃんが楽しい時幸せな時は一緒にわかちあう、そう約束するよ。」

そう言うと、先生は小指を差し出した。

「指切り」

私は先生の小指に自分の小指を絡める。

「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます指切った」

指切りを終えると先生は笑顔で私の頭を撫でた。

「もう独りを怖がらなくていいよ。怖い夢を見たら、すぐに呼んで?不安な時もすぐに。夜眠れなかったら一緒に寝るまでいてあげるし、話したい時はいくらでも話聞くからね。遠慮しないで呼んでね」

コクン

「……先生、ありがとう」

「いいえ、こちらこそ。…あと……」



そう言うと、先生は少し恥ずかしそうにモジモジし始めた。

「…………"先生"じゃなくてさ、碧琉って呼んで?」

「!!」

「いや、かな?」

「嫌じゃないっ!!あの…えっと……碧琉…先生?」

碧琉先生は少しびっくりしたような顔をしたあと、すぐに顔を赤くした。

「先生ついてるけど……まあ、いっか。あと、敬語も使わなくていいよ。タメでいこう?」

「はい…………じゃなくて…うん!!」

「んふふっ、いいね。やっぱり敬語だと少し照れくさいもんね」

そう言うと碧琉先生はまた、私の頭をワシャワシャっと撫でてくれた。
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