私が恋を知る頃に
おんぶで病室に連れていくと、病室に着いた時にはすでに朱鳥は寝ていた。

久しぶりの高熱で、だいぶ辛いんだろう…

額の汗を拭ってから冷えピタを貼り、持ってきた点滴を打った。

久翔に連絡を入れておこうとPHSを取り出したところで、タイミングよくPHSが鳴った。

「はい、小児科の清水です。」

『楓摩、俺。陽向。』

「ん?どうした?そっちでなんかあった?」

呼び出しかと思い、小走りで病室を出てエレベーターに向かう。

『いや、こっちでは何も無い、というか、電話。小学校から。』

「小学校?まさか…」

嫌な予感が頭をよぎる……

『そのまさか。柚月くん熱出したって、迎え来て欲しいって』

「まじか…、今すぐそっち行くからちょっと待ってて」

『了解』

これは、柚月もインフルの可能性が高い……

そうなると、高確率でこのあと葉月も発症するだろうから…

きついな……これは、俺数日病院に出て来れないパターンか…

穂海ちゃんのこともあるから、できるだけ空けたくなかったんだけど……しょうがないか…家族の命とは変えられないからな。

ごめん、碧琉くん、あとは任せた。

そう心の中で呟いて、俺はエレベーターに乗り込んだ。
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