私が恋を知る頃に
陽向に朱鳥のことを伝え、久翔にも連絡してもらって、俺は二人の通う小学校に向かった。

「遅くなってしまってすみません、清水柚月、葉月の父です。迎えに来ました。」

そう言って保健室に通してもらうと、柚月は朱鳥同様真っ赤な顔をしてベッドに横たわっていた。

「15分前に計った段階では、熱は38.1で、4時間目が終わった頃に来て、その時点では37.4だったんですが、どんどん上がってきちゃって…、お昼ご飯も食べれないといって、まだ食べれてません。ですが、ここに来てから3回吐いてます。」

養護教諭の先生に様子を聞き、もう一度熱を計ってもらう。

熱は38.3、短時間でまた上がってきてる。

肩を叩いて柚月に声をかける。

「ゆづ、迎えに来たよ。遅くなっちゃってごめんね、辛かったしょ。」

そう言うと、柚月は少し目を開けてコクリと小さく頷いた。

「今から病院行こうな。すぐ良くなるから大丈夫だよ。」

そう言って頭を撫でてから柚月を抱っこして車へ連れていく。

親切にも、養護教諭の先生が柚月の荷物を持ってくれて車に運んでくれる。

「すいません、何から何まで。」

「いえ、この時期はインフルエンザも流行ってますし、こういうことよくあるんです。」

「あぁ、そうですね。うちの家内も今インフルエンザでダウンしちゃって…」

そんな話をしながら、柚月を最大限まで倒した車のシートへ寝かす。

持ってきた冷えピタだけ貼って、毛布をかけてからシートベルトをしめた。

「では、お世話になりました。また、よろしくお願いします。」

「いえ、こちらこそ。お忙しい中ありがとうございます。お大事にしてくださいね。」

ぺこりと頭を下げてから、車に乗りこみエンジンをかけた。
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