私が恋を知る頃に
穂海side
ドアが開き、警察のおじさんが入ってきた。
「…っ………………」
思わず、息が詰まる。
それを見た碧琉先生がすかさず、背中を撫でて落ち着かせてくれる。
「大丈夫だよ。怖くない。大丈夫。」
……コクン
頷いたものの、緊張と怖さで心臓はバクバクと音を鳴らし、冷や汗が出る。
体も小刻みに震え、上手く息ができない。
「穂海ちゃん、大丈夫、ゆっくり深呼吸して。手握ってていいから、少し落ち着こう。」
そう言って、碧琉先生は私の手を握ってくれる。
自分に「大丈夫」と言い聞かせ、ゆっくり息を吸う。
それでも、心の奥に根付いた男の人への恐怖は中々離れてくれず、震えは止まる気配がない。
「ごめんね、怖いね。このままの状態でもいいから、少しだけ話聞けるかな?」
清水先生がそう問いかける。
なんとか、小さく頷きを返すが、心は「怖い」の感情で埋め尽くされていた。
それを察したのか、碧琉先生は私と手をギュッと握ってくれる。
「大丈夫、大丈夫。俺がついてるから。大丈夫。」
"大丈夫"の単語が、魔法の言葉のように心に溶けていく。
涙目になりながら、碧琉先生を見ると、先生は頷いてくれた。
手をギュッと握り返す。
「本日はお忙しい中、捜査にご協力ありがとうございます。」
警察の人の声を聞いて、体がビクッと反応する。
私は、半ばパニックで警察の人の説明なんて一切頭に入ってこない。
「怖い」という感情と、「どうにかちゃんと息をしよう」という気持ちに必死で、頭はいっぱいいっぱいだ。
でも、必死になりすぎてか、呼吸はどんどん上手く出来なくなる一方で、また焦ってしまう。
怖い
苦しい
頭が痛い
もう警察の声なんて聞こえなくて、視界も涙のせいで滲んでいる。
「…………のみちゃん、穂海ちゃん」
急に名前を呼ばれて、びっくりして体が跳ねる。
「穂海ちゃん、俺の目みて、大丈夫だから。」
碧琉先生の方をむくと、優しく両手を包まれる。
「俺の目見たまんま、ゆっくり10数えるよ。数かぞえることだけに集中してね。いい?」
コクン
頭の中がいっぱいでわけも分からず、とりあえず頷いた。
「いくよ。いーち、にーい、さーん、しー…」
ゆっくり数が数えられていく。
すると、不思議なことに、徐々に心が落ち着いて、息がしやすくなっていく。
10まで数え終わる頃には、だいぶ心は落ち着いていた。
「よしよし、ごめんね怖かったね。」
コクン
「大丈夫だよ。お話、もう終わったからね。」
そう言われて、恐る恐るドアの方を見ると、もう既に警察の人は部屋を出ていた。
「…っ………………」
思わず、息が詰まる。
それを見た碧琉先生がすかさず、背中を撫でて落ち着かせてくれる。
「大丈夫だよ。怖くない。大丈夫。」
……コクン
頷いたものの、緊張と怖さで心臓はバクバクと音を鳴らし、冷や汗が出る。
体も小刻みに震え、上手く息ができない。
「穂海ちゃん、大丈夫、ゆっくり深呼吸して。手握ってていいから、少し落ち着こう。」
そう言って、碧琉先生は私の手を握ってくれる。
自分に「大丈夫」と言い聞かせ、ゆっくり息を吸う。
それでも、心の奥に根付いた男の人への恐怖は中々離れてくれず、震えは止まる気配がない。
「ごめんね、怖いね。このままの状態でもいいから、少しだけ話聞けるかな?」
清水先生がそう問いかける。
なんとか、小さく頷きを返すが、心は「怖い」の感情で埋め尽くされていた。
それを察したのか、碧琉先生は私と手をギュッと握ってくれる。
「大丈夫、大丈夫。俺がついてるから。大丈夫。」
"大丈夫"の単語が、魔法の言葉のように心に溶けていく。
涙目になりながら、碧琉先生を見ると、先生は頷いてくれた。
手をギュッと握り返す。
「本日はお忙しい中、捜査にご協力ありがとうございます。」
警察の人の声を聞いて、体がビクッと反応する。
私は、半ばパニックで警察の人の説明なんて一切頭に入ってこない。
「怖い」という感情と、「どうにかちゃんと息をしよう」という気持ちに必死で、頭はいっぱいいっぱいだ。
でも、必死になりすぎてか、呼吸はどんどん上手く出来なくなる一方で、また焦ってしまう。
怖い
苦しい
頭が痛い
もう警察の声なんて聞こえなくて、視界も涙のせいで滲んでいる。
「…………のみちゃん、穂海ちゃん」
急に名前を呼ばれて、びっくりして体が跳ねる。
「穂海ちゃん、俺の目みて、大丈夫だから。」
碧琉先生の方をむくと、優しく両手を包まれる。
「俺の目見たまんま、ゆっくり10数えるよ。数かぞえることだけに集中してね。いい?」
コクン
頭の中がいっぱいでわけも分からず、とりあえず頷いた。
「いくよ。いーち、にーい、さーん、しー…」
ゆっくり数が数えられていく。
すると、不思議なことに、徐々に心が落ち着いて、息がしやすくなっていく。
10まで数え終わる頃には、だいぶ心は落ち着いていた。
「よしよし、ごめんね怖かったね。」
コクン
「大丈夫だよ。お話、もう終わったからね。」
そう言われて、恐る恐るドアの方を見ると、もう既に警察の人は部屋を出ていた。