私が恋を知る頃に
ほっと、一安心する気持ちと同時に、次に訪れる事情聴取に対する不安が一気に込み上げてくる。

碧琉先生がいても、この調子だ…

上手くできる気がしない……

「穂海ちゃん、大丈夫だよ、苦しくなったらすぐに呼んで。そしたら、今みたいに一緒に落ち着けばいいからさ。…何回でも呼んでいいからね。大丈夫。俺たちがついてるから。」

私の不安を読み取ってか、碧琉先生はそう声をかけてくれる。

「上手くお話出来なくっても大丈夫、誰も責めないし怒らないから。答えられる範囲で、質問に答えればいいからね。」

コクン

そう頷くと、碧琉先生は私の頭を優しく撫でて椅子を立った。

…………行ってしまう…

病室の前で待ってるとわかっていても、どうしても切なくなる…

行かないで…

ずっと横にいて……

そう思うけど、無理なのは前から教えられていた。

シーツに涙がぽたぽたとこぼれる。

頑張らなくちゃ、頑張らなくちゃ…

その気持ちでいっぱいだった。
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