私が恋を知る頃に
15分ほどその状態でいると、だいぶ心が落ち着いた。

「穂海ちゃん、あともう少しお話頑張れる?」

私は不安を抱きながらも、小さく頷いた。

「うん。ありがとう。じゃあ、あと少し頑張ろうね。」

碧琉先生はそう言って、また私の頭を撫でる。

もう行っちゃう…そう寂しく思ってると、碧琉先生は思い出したような顔をして、口を開いた。

「あのさ、穂海ちゃんにとって安心出来る格好とか体制とかある?」

安心出来る格好…

そう言われて思いついたのは一つだけ

「部屋の隅っこで、お布団被ること…」

そう言うと、碧琉先生は顔をぱあっと明るくして

「じゃあ、そうしよう!それで、少しは落ち着けるかな?」

コクン

その提案には私も賛成だった。

早速、部屋の隅っこに布団を引っ張って、体育座りをして布団を被る。

「それが落ち着く?」

「…うん」

「なら、よかった。…じゃあさ、そこに居たらナースコール押せないからこれ使って?」

そう言われたのは、電話番号が表示された状態になっている携帯端末、いわゆるPHSだった。

「通話ボタンを押したらかけれるようにしてあるから、手に持ってて。そしたら、苦しくなったらすぐに呼べるでしょ?」

コクン

「じゃあ、それで呼んでね。」

そう言うと、碧琉先生は再び私の頭を撫でてから

「頑張ろうね」

と言って部屋を出ていった。
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