・MINT
「ちょっと、私に買って来てくれたんでしょ? なんで高木君が半分食べてるのよ」
「岩永さんが美味そうに食べてたから。俺も食べたくなっちゃって」
すみません。と謝っているのは口先だけだ。だって、口の端が含み笑いしてる。
でも、買ってきてくれたアイスがサッパリとしていたからなのか。薬が切れてズキズキしかけていた頭痛が、少し和らいだような気がする。
ペットボトルの蓋を開け、水を喉に流し込み。私の様子を見ている高木君に言った。
「ありがと。もう大丈夫だから、いこっか」
「ホントに?」
高木君の右手がスッと伸ばされ、私の頬に触れた。
「ちょっ……」
突然の出来事にドキッとしてしまう。何だろう、この久しぶりに感じるときめくような感情は。いい歳をして、少女みたいにドキドキしてしまうなんて。
「嘘ついてない? 無理しないで、辛いなら辛いって言えよ」
「嘘じゃないってば。っていうか、なに普通に話してんのよ。先輩相手にタメ口とか」
頬に添えられている高木君の手をペシッと払いのける。
つい指導するように突っ込んでしまったけれど。本当は違う。