・MINT


 高木君から目が離せない。
年下なのに。仕事仲間なのに。

 黒髪に少し日焼けした肌、黒い瞳、長袖のYシャツを捲り、袖口から見えている腕は男らしくて……。

 改めて再確認してしまうと、ドキドキが止まらない。


「好きな人のこと、心配したらダメなの?」


 高木君の口から、思いもよらないセリフが吐かれ、真っ直ぐに見つめられていた。
 その視線は真剣で。いつもの高木君ではなく、一人の男性に見える。


 本気なの? 本気で私のことを?
もし本当なら、嬉しいけれど「私も」なんて素直に言えない。


「や、やめてよ。先輩をからかうのも、いい加減にしなさいよ」


 思わず本心とは真逆な言葉を口にしてしまう。
 だって、落ち着いて考えれば分かる。こんなこと、あるわけがない。信じられないじゃない。


「さ、さぁ。冗談は後にして、最後の店舗に向かうわよ」


 座っていた花壇の縁から腰を上げ、立ち上がると。そんな私につられるように、高木君も立ち上がった。

 向き合うと、ちょうど私達の身長差は二十センチくらい。
 私を見る高木君の視線は下目遣いになるから、必要以上にドキドキしてしまう。


「うわ、はぐらかされた。俺の告白、無かったことにされてるし」


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