成瀬くんなんて大嫌い。
見ているだけでいいって、そんなわけないのに無理やり言い聞かせた。


そして今だって、あんな女の子と一緒にされたくなくて、大嫌いだって、嘘をついてる。


別に嘘つかなくてもいいじゃんって、言う人もいる。


無理に嫌いって言わなくても、他の女の子と一緒にされたくないって言えばいいじゃんって。


そばにいられるなら別に他の女の子と一緒でもいいじゃんって言う人もいる。


でも、私は違うの。


特別じゃないと嫌だし、特別になれないなら好きでいるだけなんて辛すぎてできない。


だから、大嫌いって言葉で自分を守ってるの。


私の゛好き゛は、そんなに軽いものじゃない。


不注意で壊してしまいそうで、壊すのが怖くて、だけど今の距離じゃいやで。


そんな重たい重たい、面倒な感情。


紛れもなく、それが私の゛すき゛だった。


だから、他の女の子と一緒になんて、されてたまるか。


成瀬くんと女の子が一緒にいるのを見たくなくて、私はトイレに駆け込んだ。


その時にタイミング良く梨花から電話がきた。


｢梨花…辛い…辛いよっ…近いのに…遠いよ…｣


電話越しの梨花にどうしようもない今の感情をぶつけてしまった。
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