成瀬くんなんて大嫌い。
「じゃ、俺らもう行くから。」


宮木くんがそう言ったその時。


「待って。」


梓さん?が、宮木くんの手をパシッと掴んだ。


そして、こんなことを言った。


「隆紀、梓、まだ諦めてないよ?付き合ってよ。」


…やだ、嫌だ。


私、いつの間にかこんなに宮木くんのこと好きになってる…。


だって優しいし、大事にしてくれるし、一緒にいると楽しいし。


嫌いになる要素なんてあるわけない。


「…梓、お前、卒業のとき、きれいさっぱり忘れるって…」


「…うん、言った、けど、隆紀よりいい男、いないんだもん…」


「お前なぁ…」


全然話についてけない。


だけど、何かわからないけど、嫌だ。


梓さん?と、宮木くんが一緒にいるのは、みたくない。


だって…彼女は私だもん。


いくら梓さん?が宮木くんを好きでも、私のがすきだもん。


愛されてるのは私だもん。


…て、私性格悪。


でも、嫌だから。


「宮木くん、行こ?あの、梓さん?私、宮木くんの彼女なので!失礼します!」


思いきって梓さん?に向けて言った私をみて、梓さん?は驚いた様子だった。
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