成瀬くんなんて大嫌い。
「じゃ、ばいばい」


そう言って去っていく成瀬くんの背中を見つめていた。


後ろ姿までかっこいいなんて、最低。ほんと、最低。


ずるいよ…。


「好きだよ…気づけばか…私だけ見てよ…」


気がつくと私は成瀬くんそんなポエムチックなことを呟いていた。


わ、恥ずかし!!


もう、限界かな…


嫌いって言い続けるの。


だって…こんなに好きだもん。


どうしよう、私どうすればいいのかな。


頭の中がぐちゃぐちゃになってしまった私は、家に入ってすぐ梨花に電話をかけた。


「あ、陽茉莉〜?どーしたのー?」


「あ、梨花、あのさ、成瀬くんと…一緒に帰ってきた…」


「ほぉ〜、よかったじゃーん!!!」


「うん。あのさ、もう、嫌いって言い続けるの…辛い…」


「うん」


「だって、すきがどんどんおっきくなってくんだもん…」


「うん、」


「もう、嫌いなんて…言えないよ…」


「急に嫌いって言うの辞めるなんて、何があったの?」


「特にね、何があったって訳では無いの…。」


「…特に何かあったわけじゃない?」


「うん、」


「じゃあ、どして?」
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