成瀬くんなんて大嫌い。
あれから、劇の練習は何日も続いた。


最初はずっと足を引っ張っていた私も、みんなと同じように演技をできるようになった。


みんなに、「よく出来てたよ!」って、褒めてもらえることも増えた。


「よし、じゃあ今日はここまでー!」


今日も監督の合図で練習が終わる。


「残り2週間だからね!気合い入れていこう!」


「「おおー!!!」」


「じゃ、解散!」


残り2週間かぁ…。


あと、2週間でおわっちゃうの、寂しいな。


「瀬戸川ちゃん、帰るよ〜」


「あ、成瀬くん!今行く!」


それと、劇の練習が始まってた日から、私は成瀬くんと一緒に帰っている。


成瀬くんと一緒に歩く道は、1人で歩く道とは全然違くて。


もう全部、キラキラして見える。


一緒に話していると家に着くのが早くて、もっと家が遠かったらいいのに…。


なんて、今まで1度も思ったことがないようなことを思ったりした。


「じゃあね、瀬戸川ちゃん」


「うん、ばいばいっ、成瀬くん!」


「ん」


もっと一緒にいたい…。


最近どんどんワガママになってる気がする…。
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