成瀬くんなんて大嫌い。
「ねえ陽茉莉ちゃん〜ダメなの?ねえ」


こわいこわいこわいこわい、


目が!怖い!


「えっと、…残り…2週間しかないし…厳しいんじゃないかな…?」


ちょっとやんわりだけど、断れた!


それに、劇の練習が無くなったら…成瀬くんと、一緒に帰れなくなっちゃうよ…


「えー、大丈夫だよお!愛音、樹のためならなんでも出来るしい!」


「え、で、でも…わ、私、」


「なあに?陽茉莉ちゃんもお姫様やりたいの?」


「え、や、それは…」


「ならいいじゃーん!ね、陽茉莉ちゃん!代わってー!」


「…うん。」


…押し切られちゃった…。


あぁぁ、私のバカ…。


どうして、私もやりたいって言えないの?


どうして譲りたくないって言えないの?


大事な時間だったのに。


成瀬くんといられる、大事な時間だったのに。


それに、成瀬くんと愛音ちゃんがキスするの…嫌だなぁ…。


「やった!じゃー、きまり!樹の相手役は愛音ね!」


「それはだーめ。」


その時、急に言葉を発したのは成瀬くん。


だめ?…だーめって?


「えー?何がダメなのお〜?」


私と同じく意味がわからない様子の愛音ちゃん。


「だから、お姫様は瀬戸川ちゃんだから。愛音はダメ。」


私がお姫様で、いいってこと?


「えぇぇ!なんでよお!!!」
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